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舞洲万博P&Rにおける自動運転車両の縁石接触の原因と今後の対応について
2025年7月21日(月曜日)に舞洲万博P&Rシャトルバスにおいて、自動運転レベル2で営業運行中に、縁石に接触する事故につきまして、調査の結果と今後の対応についてお知らせします。
本事故を受け、この間、舞洲万博P&Rでの自動運転を取りやめており、お客さまにはご不安とご迷惑をおかけしておりますことをお詫び申し上げます。
なお、舞洲万博P&Rにおける自動運転の再開時期につきましては、改めて、Osaka Metro 公式ホームページでお知らせします。
1 発生日時
2025年7月21日(月曜日)12時5分
2 発生場所
夢洲観光外周道路から夢舞大橋につながる夢洲北高架橋
3 事故の概要(現場状況、時系列は画像参照)
- 当該舞洲P&Rシャトルバスは、万博会場から万博舞洲P&R駐車場に向けて自動運転レベル2で営業運行中に右前輪の側面が中央帯縁石に3メートル接触しました。
- ご乗車のお客さま7人にお怪我はございませんでした。
4 原因
(1)前提
当社が運用している自動運転車両は、マップマッチングという自動運転システム内に予め複数ファイルにわけて保存した3Dマップと、自動運転車両に搭載しているLiDAR(レーザー光を照射し、その反射光から物体までの距離や形状、位置を精密に計測する技術)から得られた点群データとのマッチングを行い、自らの位置を推定する手法を用いて、走行中の車両の位置(以下、自己位置といいます)を推定しながら、自動走行しています。
また、マップマッチングを用いた自己位置推定がむずかしい場合に備えて、RTK-GNSS(アールティーケージーエヌエスエス)という複数の衛星からの電波を受信し、距離を測定することで自らの位置を特定する自己位置推定技術を搭載し、状況に応じて切り替えることで運行を行っています。
(2)原因
事故発生場所付近は、3Dマップの読み込み位置(次のファイルを読み込む位置)でしたが、LiDARから認識した情報と3Dマップをマッチング処理する際に、①CPUが過負荷となり3Dマップの読み込みが遅れた結果、車両位置の更新が適切にできず、マップマッチングの精度が低下しました。
マップマッチングの精度低下に伴い、自動運転システムは代替自己位置推定手法であるRTK-GNSSに自動で切り替わり走行を継続、事故発生前にRTK-GNSSからマップマッチングに自動で再復帰しましたが、②マップマッチングによる自己位置推定は車線の左に寄っていると誤認識しておりました。
そのため、自動運転車両は車線の中央付近にあったにもかかわらず、自動運転システムが車線中央に自己位置を戻そうと右にステアリングが切られ、中央帯縁石側に急速に接近し、運転士は瞬時に回避行動を取ったものの間に合わずに右前輪の側面が中央帯縁石に3メートル接触したものです。
5 対策
原因①について、マッチング処理フローに関する見直しなどを行い、CPU負荷を低減する処置を実施しました。
原因②については、マップマッチングの精度回復とともに、マップマッチングとRTK-GNSSの自己位置推定値のずれが小さくなったタイミングでマップマッチングへ復帰させるよう設定し、走行中に自己位置を的確に認識し続ける対応を実施しました。
さらに、今回の事象のようなマップマッチングとRTK-GNSSの切り替わり時における、急なステアリングが発生しない対応を行い、運転士による危険回避行動をとりやすくするとともに、偏差のずれが大きい場合に自動運転用モニターを通じて運転士に手動介入するように伝える対策も実施しました。
なお、上記の対策完了後、机上検証及び手動運転による検証において、対策が有効に働いていることを確認しています。
6 今後の対応
今後、舞洲万博P&R駐車場から夢洲第1交通ターミナル間の公道上にて、事故が発生した際と同等の走行環境における対策の効果検証のためのテスト走行を実施します。問題がないことが確認できた際には、関係機関へ報告した後、運行再開していきます。